CULTURE

ハワイの聖地 
# 5 「言葉の中に宿る聖地」

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ハワイの聖地を紹介始めてから4回目になる今回は「言葉の中に宿る聖地」と題して、数多き心を清めるハワイ語の中でも「最も重要な言葉」とされているる11個の言葉を紹介します。
(ハワイ古代の中でも一番古い民族の教えKanenuiakeaを元にに書かせていただきます)

1: ALOHA

世界の皆さんにお馴染みのこの言葉「アロハ」は、実はハワイ語の中でも最も神聖でかつパワフルな言葉です。命を癒し、良い方向に変える力を含む言葉。意味を紐解いてみると、今この世に存在しているもの同士がお互い存在していることを喜びあい、そして助け合い存在し続ける、という意味になります。ちょうど、木と人が酸素と二酸化炭素を交換しあうことでお互いの命を支え合う様に、それぞれが持つ息を交換することで、この世の命の全てが、正しい形で動き出す、ということを 常に思い出させる為に、日常の挨拶がわりに使うのです。

言い換えてみれば、愛情、サポート、同情、優しさを他人に向けることで、結果的に自分の心と体の健康を整えることになる、ということなのです。(思い出して欲しいのは、ハワイ古来の考えには上下関係はありません。歳が上なのは早く産まれたからというだけのこと。自分たちの上になる存在は唯一 太陽です)

The presence of breathそして the breath of life 存在する命の息。今。hā ハー。さらにそれを解いてみると、OHA(体から弾ける様な喜び)ALO(存在するものがシェアし合う)HA(この今と言う空間を作る宇宙の一部を自分が借りていると言う意識)。短略的な言い方にすると、自分の置かれた立場、環境の中で、自分をまず冷静に穏やかに喜びで満たされる健康的なものになり、その自分をシェアすることで周りをも幸せにしてゆくと言う身構えで 存在すれば結果世の中は良くなる ということなのです。

(意見)この本質を体で理解できる様になると、「あの人は私と違うから嫌だ」「私は特別だ」「あいつは嫌だ」などとの他人との違いに嫌悪感を持つことがなくなり、自分を受け入れる様になり、違う考えを持つ他人を受け入れる様になれると思いました。

2: OHANA

家族と訳されるこの言葉。そこには、現在目に見えている家族と目に見えない家族が含まれてます。目に見えている家族には、お母さん、お父さん、おじいさん、おばあさん、おじさん、おばさん、または血は繋がらずとも婚姻によって繋がった親戚があげられます。目に見えない家族の方は、縦の繋がり。akua(様々な形になり存在する命)aumakua (祖先)そして未来の人たちのことです。

そして、私たちが生きている間にやらなければならない一番大切な仕事がオハナ(家族)のバランスを取ることです。もちろん一番むずかしいことでもあります。しかし、太陽系の惑星たちが、それぞれの場所を’外れることなく、自分の役割を果たしている様に、宇宙の一部を使わせていただく責任として、その仕事は果たさなければならないことなのです。

(意見)子供の時に家庭環境の悪いところで育った人は、わかりにくいことかもしれませんが、家族は目に見える家族だけが家族でない、そのことは生物学的にも証明されていることですよね、そう思えば、なんだか誰しも穏やかになれる様な気がします。ただし、家族のバランスを取るというのは、世の中が乱れているだけに、本当に難しいことです。しかも、家族は近いだけあり、甘えが出ます。子供に期待したり旦那さんに期待したり、奥さんに期待したり、神さまでも叶えられないようなのでことまで期待したりして。で、自分の期待に応えてくれなければ、イライラし、怒鳴ったり、意地悪したり、投げやりになったり、裏切ったり、諦めたり。こうすることで気は楽は楽になる気がしますが、罪悪感が残ると思います。そうなると、いつまでも幸せ感を得られるわけがないですよね。自分の責任(家族のバランスを取る)を忘れなければ どんな状況でも、サポートをする側に回れるはずです。おのずとどんなサポートしたらいいのかも見えてくると思うんです。親である私たちは、お金で動かされている物質的な今の世の期待をそのまま家族に持ち込んでいないでしょうか?自分の命を支えてくれているのは血筋、そして体を作ってくれているのは、食べ物、飲み物、動物、微生物、そういったところにしっかり親自身も、目を向けていかなければならないと思います。(私も修行中ですが)

3: ĀINA

アーイナは2つの言葉が重なりできています。ĀIの意味は、食べ物を与えると言うこと。na をつけると、「食べ物を与える源」と言う意味になります。要するに、大地。私たちが生きる上で最も大切な、食べ物を与えてくれている大地。大地の意味をよく考えてみると、過去の物が積もったもの、そして未来の人のための肥やしになっていることを思うと、大地は今の人のためだけでなく、過去そして未来の人の為まで支えてくれるのだ、ということがわかってくると思います。

物までに関係する大切な大地。Aloha āinaの意味は、食物を与えてくれる根源なる大地を大切にする、感謝すると言う意味になります。

(意見)あまり意識しないこと。私たちが今立っているこのアイナとはどうつながっているのかを考えてみると、その大切さが見えてくると思います。食べ物だけではなく、吸気を作る木、海、山、水。携帯で友達とつながることばかり大切にしてるけれど、命を体を支えるアイナとの繋がりを少しでも考えることで、何かが変わってくると思います。

4: MĀLAMA

マーラマの意味は、世話する、と認識されていますが、実は、「相互関係」という意味を持ちます。

古代のハワイ社会では、アリイ(政治家)たちは、人々のために一生懸命働き、一般の人がその恩返しに頑張る。言い換えると信頼できる政府の元で、一般の人たちが、それぞれの特技を社会のために活かしあう。マーラマが生きた社会だった時がありました。ここで大切なのは、行為は心から喜んで行うことなんです。心が入った喜びながらの行為でなければ力は発揮できない。息をそれぞれに持っている私たちは、宇宙の一部を保持している私たちです。そういったアロハの意味から考えると、私たちは皆、神様と匹敵する存在であり、それぞれに何かしらの力を持っているのです。それを社会のために十二分に発揮できれば、自分自身もスッキリした気分で生きていけるのです。

(意見)政治と市民という話になると、今や政治が乱れているケースが多いために、かけ離れた感じがしますが、囲まれた社会と自分、というふうに言えば、わかりやすいと思います。今や、多くのお子さんが、小さい時からそれぞれの特技でもないことに時間を費やさなければならないがため、結果、大人になった時に、何が自分の特技わかもわからず、そのまま就職したとしたら、本人が辛いだけではなく、周りのためにも会社のためにもならない。悪循環になっているケースが多いと思います。いろんな関係性に気がつけば「自分はなんのために生きているのか」なんて疑問もなくなってくると思います。自分の暮らしを支えてくれている者との相互関係を結ぶ。マーラマ、相互関係を保つためには、何ができるでしょうか?やれることはたくさん出てくると思います。自分でなければできないこと。そう思った途端、なんだか生きてる価値がある様な気になりませんか?

5: PONO

ポノは「調和」という意味です。バランスが取れている状態をポノと言います。それは自分の中のことでもあり、人との関係でもあり、土地との関係でもあり、神々との関係でもあります。生きている上で対象なる物がたくさんあるのが当たり前です。それらとうまくハーモニーを醸し出すことができて、初めて人はポノ落ち着いた状態でいられるのです。古代ハワイでは、このポノが全てでした。アクア、カフナ、、マカアイナナ、全てがアイナとバランスよく存在していることで、人々は食べ物に満たされ健康で生きられると言われていました。当時は、土に返らないゴミを出すというのは持ってのほかです。人糞までも未来の食べ物の肥料になると捉えていたのです。バランス、またはハーモニー。対象になる者と常にハーモニーを醸し出す。それができなければ、人は病気になります。またポノは、所有物という意味でもあります。ただ物質的なものではなく、自分の枠の中に入れた者への責任ということなのです。

(意見)ポノ。それを作り出すためのハウツー本はありえないと思います。それぞれの時代、それぞれの環境、それぞれの家族の中の違ったバランス。子供たちとハーモニーを醸し出すためにはどうしたらいいのか?旦那様と奥様とハーモニーを醸し出すためには?成長する子供達。老いてゆくパートナー。対象となる相手とのバランスの取り方は、その時々で変わってくると思うんです。日々という枠ではなく刻々というものなのかもしれません。気は抜けませんよね。そう思います。

6: KULEANA

クレアナの意味は自分が今、こうしていられるのは、過去の人たち、他人がしてくれたことの功績の証だと気がつくことなのです。そしてそれを背負っていく責任。それがクレアナなのです。そのために自分が自分にできること、家族にできること、他者にできること、社会にできることを認識し、実行していく。ちなみに、ハワイでは祖先の骨をどうするかもとても大切なクレアナです。

(意見)とても大切な意識だと思います。私自身もそうですが、過去に助けてくれた人がいても今の暮らしが忙しくなればなるほど、その恩を忘れてしまいます。しかし、実際に、自分がここまで来れているのは、(心的にも体的にも)関わってきてくれた人たちのお陰でもあるわけです。体が存在するのは祖先たちのお陰。過剰にお返しすることはポノを崩すことになりますが、せめて心の中での感謝は忘れないでいたいものです。

7: KōKUA

このコークアとLaulima(ラウリマ)=たくさんの手は、実際にどうやって、この社会を皆と組み立てていくのか、ということになります。自然と社会とのハーモニーを醸し出すためには、多くの手が必要です。自分のエゴや報酬ばかりを考えると、何もできずに終わってしまいます。建物を建てたり、プロジェクトに関わったり、一人では出来ないことは、自分のエゴを超えた愛情、労わりがあって初めて出来る。自分のエゴは絡んでいては成功するものもしなくなります。

(意見)名誉やお金ではなく実際に正しいと思ったことに、献身することが自分にはできるのだろうか?考えさせられる言葉です。実際に何か素晴らしいものを作り上げるのには、自分の手だけでは出来ません。人と人とが力を合わせてできるものです。簡単に言いますが実際には難しいことだと思います。あの人が嫌だとか、この人が嫌だとか、お金との兼ね合いとか、そういう個人的な感情や事情を超えて、本当にやらなければならないことにエネリギーを注ぐ自分を作りたいものです。

8: MOʻOLELO

家系図、レジェンド、重要な出来事、価値観、信仰、儀式、は、オリ(チャント)、フラ(ダンス)、モオレロ(伝説)、ポハクキイ(石に刻まれた絵)という形で現代まで伝えられてきました。お話を伝える意味は、過去に生きた人たちと未来に生きる人たちとを繋ぐということです。

(意見)前回のブログでも述べましたが、いきてゆくための知恵に留まらず智慧というものが大昔から伝わる話の中に詰まっています。しかも短略的な教え方ではなく、本人が実際に壁にぶつかった時に、そのお話の意味に気づき、活用するという、本人の生きる力になっていくお話だと思います。日本は戦後、急速に欧米化したため、今や伝説を知る人は一握りになりました。過去と自分を繋ぐものがない人種はやはり背骨を抜かれた生き物のように、不安定だと民族を研究する方が本に書かれていましたが、まんざら嘘ではないと思います。

9: LŌKAHI

ローカヒとは、管理された中に、いやいやいるのではなく、自分が宇宙の一部であることを知り、正常な状態で、全ての物との繋がるということなのです。

(意見)日本でも昔「和」というものは強制ではなく、心と心が繋がった状態を意味していたそうです。いつのまにか強制の「和」が先行する世の中になってしまいましたが、卵が先か鶏が先か、全ての項目を理解してみると、このローカヒの意味が見えてきますし、実際に全てを理解すると、ほんと不思議を正しい関係だけに取り囲まれるようになると私は信じています。

10: MAHALO

マハロはアロハに並び、とてもパワフルな言葉です。
真実の全てを表している言葉とも言えます。

MAの意味は、(内)、HA(息)、ALO(存在)。時にマハロは、ありがとうと訳されますが、実際は、内なる息を捧げます、という心からの感謝というもっと深い意味があります。(人は皆、神的な存在であると説明しましたが)神としての息をあなたに吐きかけさせてもらいます、という意味で、言い換えると、自分に備わるマナ(力)を恐れながらも、あなたにシェアさせてもらいますという、相手の立場も尊重した上で、自分の内なるものを分ける、シェアする。そういうことなのです。それができれば、自分の内なるものと外なるものがうまくハーモニーを醸し出す。良い状態になるのです。

(意見)ありがとうって言いたくなくても作り笑顔でありがとう、きっとそういうのは必要ないのかもしれませんね。心から感謝する時に自分のマナをも分ける気持ちで伝える。そうできる相手と肩を組んで生きていく。それぞれの人が生きているそれぞれのセクションでそれができれば、自然と全ては良くなるのでしょう。

11:HOʻOKUPU

このホオクプとは、成長、光栄、リスペクト、を、他のものに与え、与えられることにより、お互いのマナ(力)を強めていく、ということなのです。

相手は他人だと考えがちですが、全項目にあるように、関係は人だけでは、この世は正常に動きません。土地と、過去の人と未来の人とそして神々、魂、全てとの関わりを祝福することが、逆に自分のマナになる(お互いの力を強める)。感謝を実際に態度で表す。意図して行うことの重要性をホオクプは語っているのです。儀式やお供え物が、その代表的な例です。

(意見)なかなか感謝や喜びを表すというのは、日本人にとっては難しいことかもしれません。(私自身もとても苦手)でも、例えばプレゼントをもらったら嬉しいように、あえて、行為として表していくこと。大切なことなのかもしれませんね。

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今の様に移動がそうそう簡単に行かなかった時代、聖地から聖地に人々が渡り歩くことができたわけがない。きっと一般の人たちは一度も聖地に踏み入れることがなかったのかもしれません。それでも皆がそれぞれ自分というものに価値を置き、責任を果たしていた。理解を深めると、自分の中でやってはいけないこと(カプ)が浮かんできて、それをすんなりと守れる様になるとも言われています。

要するに、

自分の中に聖地を作ること。

それが聖地を回るよりも大切なことなのかもしれません。

この場を借りて貴重な文化をシェアしていただいたハワイアンの人たちに心より感謝を述べさせていただきます。

MAHALO

それでは次回まで

アロハ!

記事: エミコ•コーヘン
ノースショアの宿(ハワイラブカード加盟店)
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