「個人の感動をそのまま他人に伝えたって面白いうた（文）にならないのよ」
って、以前、短歌のベテランに聞いたことがある。

けれど、どうしても、伝えたくって（笑）

うちの庭には二羽ニワトリがいる、
と言いたいんですが、４羽、鶏がいる。

ぞれぞれ卵を産んでくれるんですが、一羽だけ、卵を産めない鶏がいた。

その鶏はとりわけイカツイ顔をしている。

女の子だからSHEと言わなければならない主語を
ついついHEと呼んでしまう様な、出で立ち。

性格も荒く、人間が近くと、足を突いてくるし、
仲間とみなさない鳥や鶏が近づいてくると、突く。

で、卵も産めない。

卵が体の中で育たない様で、半分できては白い液状のものとなって出てくる。
要するに、流産を繰り返していた。
本当は男だったんじゃないかと、トランスジェンダーを疑ったりして（笑）

その可愛げのない奴が、４月の初め、様子がおかしくなった、
びっこ引き始めたのだ。

それでも、餌をまくと、他の鶏に負けない様にと、
走って餌まで近づこうとする。けれど、ヒックリ返ってしまう。

「ざまあ見ろ、ばちが当たったんだ。何度も突かれて痛い思いをさせられたんだ、ほっとけ」

そう思っていた数日後、うちの旦那が

「ラテが死んでるぞ！」と。

家の軒下で一人静かに、ラテが横になっているのを、遠目で確認した私は、
なんだか近くのが嫌で、三女のジュリアに葬る様に指示。

１０ 分後。

言われたままスコップを持って、近づいた動物の相手が得意なジュリアが
叫ぶのが家まで届いた。「生きてる！！生きてるよ！！」と。

近づいて見てみると、ぎょろっと眼を開けてる！！！

パンを持っていくと、体は動かせないけれど、
首をかろうじて動かし、食べようとする。

さっそくジュリアのアイデアで、顔の中に隔離させることに。
鳥の餌は食べたがらないので、柔らかいパンと、柔らかく煮たうどんを
一週間与えたところ、立ち上がる様になった。

もう大丈夫だろうと、籠から出して見たら、歩こうとすると転がっちゃう。
また籠に戻し、１０ 日間ほど、隔離。
たっぷり栄養を与え続けた。
「最後の灯火なのかもね」と、家族と言いながら。

すると、日増しに元気になる奴の食欲は驚くほどに。
そして、トサカもどんどん赤くしっかりしてきた。
そのうち、鶏の餌もしっかり食べる様になったので、
籠から出すことにした。

しかし鶏ってひどいよね。

あれだけ一緒に行動してたのに、
群れに戻って一週間ほど、一緒に餌を食べようとすると、
他の３羽が攻撃してくる。

それでも、鶏って強い。
サラッと、逆境を乗り越える。

突かれてもそのまま意地悪なその３羽の後についてゆく。
そのうち以前の様に、４羽揃って行動する様になった。

そして、「人生初の卵」をその病んでた鶏が産んだ！！
しかも、誰の卵よりもしっかりしている卵
同時に、もう人間の足を突くことは無くなったし。

その日からかかさず毎朝産んでいる。
この卵。

まさに私の「金の卵」。

つまらない個人的なこと。
でも、
日々、卵をみるたびに、嬉しくて嬉しくて。。

書き綴ってしまいました（笑）

こういう個人の喜びの積み重ねが
生きてる喜びなのかもしれませんね：）

記事： エミコ•コーヘン
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