前回の記事に続き、ハワイの平和だった時代を支えたアハ政治システムの話しを進めて
いきます。今回は、「マラマポノ」。住民の一人一人が正しい考えを持ち行動する為の実
際にどんな教えが存在したのでしょうか?噛み砕いていみましょう。
私たちが幸せを掴みたいと考えた時、何を真っ先に考えるかというと、大抵の人は、短い
人生での努力をし何かを成し遂げたい、という自分の人生のみの成功です。ところが当時
のハワイアンたちは、「自分」というものは、孤立した物と考えるのではなく、地上すべ
てのものの要素が影響しあって出来ている生物で、地球の一部だと捉えていました。スピ
リチャル系? 胡散臭く感じられる人もいると思いますが、科学的な目をもって考えても
納得できる事実でだと思います。人の吐息には二酸化炭素が含まれていて、その二酸化炭
素を木が吸収する。木は酸素の吐息を吐き出す。そして様々な生物がその酸素を吸う。息
一つをとっても、木々に頼っているわけで、1人では生きていけないということがわかり
ます。言い換えてみると、ハワイアンたちは、空気や風や木や石や川や海などなどと、地
上に存在する全てを自分たちのの「兄弟姉妹」と捉えて生活していたのです。
[写真]このコオラオ山脈 古来ハワイアンたちは祖先だと信じていた為、一つ一つの峰に
名前が付いている。
さらに見えるものだけを大切にしていたのではありません。何をするにしても、自分の先
祖と一緒に生活を送っていると信じていた。特に土地は、亡くなった先祖たちが重なり
あって出来ているもので、その土地が自分たちに生きるための食べ物を与えてくれるも
の。だから土地(アイナ)を自分の体の一部のように大切にしなければならいと考えてい
ました。アクア(クリエーター)がいて、アウマクア(先祖)がいて、マクア(自分の両
親)その繋がりを常に意識していた。そして自分も将来を支えるかけがえのない存在だと
いうことを理解していました。
それでも人は間違いを犯すことがあり、それが人間なのだという事も理解されていたので
す。そこで、モオレオ(言い伝え)が大活躍しました。例えばモロカイ。住民たちは、島
を産んだと伝えられるヒナの女神が、社会のポノ(バランス)を保つ大きな役割を果たす
と信じていた。島が正常に動く様にヒナが躾してくれているのだというコンセプトが人々
の間で認識されていました。
例えば、こんな話しがあります。ヒナの特技は風を起こすこと。持っているひょうたんの
蓋の空けると、天候が変わる。社会が乱れてきたら、ヒナはそのひょうたんの蓋を空けま
す。少し空けるとイリナホと呼ばれる強風が吹く。強風がやってくると人々は「行ないが
悪いんだ」と、反省し、身構えを調整する。それでも治らなければ今度はヒナ、さらに大
きく蓋を空ける。すると、ウルヘヴァというストームが発生し、山から木々が倒れ、海は
荒れ、畑は壊される。それでもダメなら駄目押しで、蓋を全部とってしまう。すると大変
なことになるんです。人に命も奪ってしまうほどのルルクと呼ばれる雷まで伴う嵐が起き
る。ちなみに歴史上ではウルヘヴァとイリナホは時折起きたそうですが、ルルクはまだ起
きていないそうです。当時の人たちは、ヒナが人の生活を破壊ということは、人々のヘ
ヴァ(悪い点)を取り除くということで、社会が正常に動くためには、必要なことだった
と認識していたそうです。
写真はワイメアショアブレイクの写真。 古来ハワイアンたちは、村を破壊するほどの自
然現象は、人々の生きる態度を整えるために必要なものだと考えていた。
「自分」という存在以上に「社会」を意識し、7世代先の地球のことまでを考えて正しい
行動をする。それが「マラマ•ポノ」ということなのです。ハワイ古来の政治アハシステ
ムに政治のあるべき姿をみせられた気がしますが、では、どちらの候補者に投票するかの
答えが出たかというと、その逆。かけ離れてしまった今の政治を嘆かわしく思ってしまう
のは私だけではないはずですよね。せめて自分の家族の中だけでも、アハシステムを存在
させようと意気込んでいる私です(笑)。
記事: エミコ•コーヘン
ノースショアの宿(ハワイラブカード加盟店)
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