CULTURE

アメリカ政治は先住民の知恵?!(中間選挙で気がついたこと)

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写真 / サンセットビーチ小学校のカフェテリアが会場になったノースショアの投票場

先日、アメリカの中間選挙が行われました。

「え??ハワイは関係ないんじゃない?」

あはは、、、実は日本の人よりアメリカ人の都会に住んでいる人の方が、こう思ってる人が意外といるんです。「ハワイって独立した王国で、ハワイ語を喋る原住民が住んでいるところでしょ?」と、以前ニューヨークを旅行している時に言われました(笑)

ハワイにいらっしゃるハワイ好きな日本の方はもちろんハワイがアメリカであることはご存知だと思います。当然、普段のんびりと波ばかり気にして生きている様な現地の私たちも、誰に投票するかの下調べをして、たとえ波が最高に良くても投票日にはあえて時間を作って、「この人なら」と思う人に一票入れに行きます。

(「この人だ!」ではなく「この人なら」と書いた意味、お分かりになられることと思います(笑))

今回は大統領を決めるのではなく、ハウスとこちらでは呼ばれている、いわゆる合衆国上院と下院を決めるものでした。上院と下院とは、それぞれの州の代表です。代表は、それぞれの州に住む一般人の間で起きてる問題を解決するための法律のアイディア(法案)を国会議事堂に持ち寄ってくる。実際に法律として決められるかは、その国会で協定される。そこで可決されれば、大統領の元に持っていく。彼がサインをすれば、法律が決まる。けれど、大統領がノーと言えば、議会に法案は戻される。再度、協議される。何度か繰り返した後、議会の決定が左右に揺れない様なら、大統領がオッケーのサインをしなくても、その法案が通る。要するに、時には大統領一人の力よりも末端の方が強い。一般人が世の中を変えることができる(可能性を持っている) ということなんです。

また正当な法律が作られているかは、この2箇所にとどまらず、もう一箇所ふるいになる場所があります。最高裁判所です。例えば70年代。議会と大統領の間で、行ったり、来たりと、対立する意見が議会の中でぶつかりあった件、「妊娠した後に人口的な中絶を違法とするかどうか」ということ。片側は「どんな命でも殺してはいけない」だから「中絶は違法」だと。かたや、「親がドラック中毒だったらどうする?」「レイプされて出来た子供だったらどうする」赤子を迎える体制ができてない場合は「本人の意思で中絶もあり」だと。なかなか決まらないでいたこの一件は、結局、最高裁判所に持ち込まれました。そして、中絶の自由が初めて認められたのです。

それがアメリカという国の政治。出来てから約300年も経つ間にかなり体制が崩れて来てしまいましたが、『一般の声が届く政治』が感じられる。独裁政治にしてはならないという態度。そこが『アメリカの美』。それが連邦共和性「デモクラシー」な社会なのです。

だからです。トランプ大統領の傲慢な発言や行動が目立っている今、それを下から正す、正しいハウス(議会)の設立は必須。中間選挙がいかにキーポイントなっていたか、ご理解いただけたかと思います。結果は、久しぶりに下院の比率が変わりました。民主党(オバマさんなどはこちら)が、大統領を支持する派の共和党を上回った!国民それぞれがトランプが率いる政治に疑問を感じていて『変えなければならない』と感じている証拠が現れたのだと思います。アメリカの美を取り戻すきっかけになったと信じたい。本当の意味のデモクラシーがもう一度戻って来ればいいと。。。

ところで、この「デモクラシー」のアイデアは、どこから来たのでしょうか?

まずは「アメリカはどうやって出来たか」を考えてみましょう。

歴史の授業ではないので、概要だけさらっとお話します。祖国が苦しくなった人たちが集まった場所、それがアメリカなんです。押し付けられた宗教が嫌だとか、祖国の政治が嫌だとか、王様が傲慢だとか、家族が最悪とか。。とにかく「解放されたい!!!!」と感じた人たちが、思い切って祖国を飛び出し、新天地としてアメリカの大陸にやって来た。集まって来た人同士で作ったのが「アメリカ」という国なんです。

人の下に立ってはいけない。

人の上に立ってはいけない。

祖国を離れてまでも自分の『自由に立ち上がった』人たちの頑固たるポリシー。けれど、記録に残る歴史の中にはありませんでした。『人は皆、横並びで存在する』社会というのは。どうすればそのポリシーを生かした国ができるのか?建国の父たちのチャレンジが始まりました。

コロンバスがアメリカの国を見つけた1492年。その頃は、なんと現地に1億人の先住民(ネイティブアメリカンまたはインディアン)がいたそうです。が、ヨーロッパ人が到着した後、その白人たちが持っていた病原菌が先住民たちの社会に広まり、おびただしい数の人たちが病死。さらに、土地を暴力で奪われたりと、先住民族の数は一気に減ってしまいました。

この事実を聞くと「やっぱり西洋人(白人)は横暴だ!」と、結論を出してしまう人が多いと思いますが、実はそんな西洋人の中でも、先住民族を自分たちの先生の様に思っていた人もいました。なにせ、何千年も、大自然と共存し他の社会に頼ることなく人口を増やして行くことに成功していたネイティブアメリカンたちですから、何か特別な秘訣があるのだろうと、賢者たちは察していました。

建国の父たちは、その事実を見逃す術はありませんでした。現在ニューヨークになっている場所にOtsegoという名のつく湖があります。そこにはかつてイロコイ族が住んでいました。イロコイ族。長い家に住む人たち。彼らは、他5つのトライブと共同政治を行うという不可能であったことを可能にした民族です。1740年のこと。アメリカが建国する前のことです。デモクラシーの元はまさにそのネイティブアメリカンの団結した政治だったのです。トーマス·ジェファソンは、その彼らから政治のやり方を学んだのです。政府は人の上に立つものでなく「人の暮らしをスムースにするためにあるピースメーカー」でなくてはならないということを!!!

これから先はそこで伝えられてきた正しい政治を導く話です。要約してお話します。

「昔、広大なその土地には争いを好むリーダーが住んでいました。彼の名前はハヤワサ。悪魔に心を奪われてた男。そこに、ホワイトストーンカヌー(小船)で、ピースメーカーが到着しました。ハヤワサは、そのピースメーカーに「平和を元に団結しよう」と言われ、戦うべきか平和に団結すべきか、悩みに悩みました。母なる大地は彼決断の手助けをしました。彼の心に取り付く悪魔をやっつけてくれたのです。こうして、他のトライブとユナイト(団結)することが出来、今までにない真に強い社会が出来上がりました。」

気がつかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。大統領。議会。そして最高裁判所。この関係がこのお話には隠れているのです。独裁者の心を奪っていたのは、悪魔ではなく、実は独裁者の中に潜む自分のエゴ。力を持てば持つほど、自分のいい様にそのパワーを利用してしまいがち。そこに、ピースメーカーの議会と、最高裁判所の母がいる。

その時の約束は、ワムパムベルトに編み込まれました。ワムパムとは貝殻です。一つ一つ貝殻を編み込む。模様は、真ん中に木があり、木からいくつかの四角が繋がっている。「木」それは大自然を現しています。地球。空。水。この世に生きてる全てのもの。それらを意識し、感謝すること。彼らがなくては人間が成り立たないことを前提におけば、人の上に立つ特別な人などいない。人の下にいる人もいない。全てが木(自然)を中心に横並びであることに気がつくのです。そしてその重みのあるワンパムベルト。先日ニューヨーク州から先住民族の末裔たちに戻されたそのベルトその物が、六法全書、そして、歴史の教科書、なんです!!

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写真 / 法律書であり歴史書でもあるワムパムベルト

以前、ハワイ古来の政治(モロカイ)を紹介しましたが、やはりコンセプトは同じ。今、まさに、原点に戻る時期が来ている様な気がします。私たち個人のレベルにあっても。。。

それではまた次回まで

アロハ!

記事: エミコ•コーヘン
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