CULTURE

私たちがフラを踊る理由

ブログ46−2

「DANCE WE WILL-NO TABU- 私たちはどんな陰謀を受けようとも踊り続けるのだ!」
ー1820年オアフ島長ボキの言葉よりー

現在多くの人に親しまれているフラダンス。
そのフラは、西洋人のキャプテン·クックが到来した1778年以降と、それ以前とでは、大きな違いがあります。

どんな流れでフラの役割が変わってきたのかを探ってみると、
フラの本質が見えてきます。それが見えてくるとなぜ私たちがフラを踊るのかが明らかになってくるのです。
ぜひ、読み進めてください。

さて、、何かと言えば出てくるキャプテンクック。
なぜキャプテンクックがハワイの歴史にそれほどまで大きく影響を与えているのでしょうか?? 
様々な理由がある中で、鍵となるのが文字。文字を書く習慣がなかったハワイに西洋人の彼らが文字文化を持ってきたからなのです。

「文字のない世界」

みなさん、想像できますでしょうか?
一緒に考えてみましょう。。。

私たちがこの世に生まれる前は
母親の胎内で心地よく羊水に包まれながら優しい母親の声を聞いて育ちますよね。
そして生まれた後はまだ目が見えず、光や音を感じながら過ごします。

目が見えてからは「見る」ということで、世の中というものを理解してゆきます。
その時期に自分を表現する方法は、顔の表情。
それでも通じなければ泣く、そして叫ぶ、そして笑う。

話せるようになってからは、、数少ないボキャブラリーでありながらも、「会話」をすることで他者を繋がることができます。

歳にして6歳か7歳くらいまでは、他人の力なしの命など考えられない時期です。
どんな状況であっても、他人と繋がるために、感覚を磨き、自分を表現する技術を磨いていくのです。誰に言われなくても。

ところが学校に入ったとたん、文字を覚える。
文字を覚えると、評価されるようになる。
テストの紙上(またはインターネット上)の文字の書き方に点数が付くだけでなく、文字で表すものも「お金を稼ぐことができるようになるための行程」に絞られる。
となると、研ぎ澄まされていた真に生きるための感覚がどんどん鈍くなってゆく。

以前、大学で使われている教科書「世界の宗教」の中にこんな話が載っていました。

近代の社会ではキリスト教、イスラム教、仏教が三代宗教と言われているが、実は古来の社会のどの地域の人をとっても神々を信じている人が圧倒的に多い。
決してその三代宗教だけに留まらなかったのに。
では、なぜ、その三つの宗教の普及率が高かったのか。
早い時期にその三代宗教は「文字」文化を発達させていたから。
ハワイアンなどの自然信仰もその三つの宗教に劣ることのない信仰だったのに、
「文字」で残されていなかったことが、衰退していった原因の一つだ。

要するに文字に書かれてなかった教えを西洋人が信じなかった。
実はフラが生きる哲学を教える教科書のようなものだったのに、
記述しか信じない人種が字の書けない文化を卑下し、違うものに変えていったのです。

古来のフラを西洋人は「淫らな踊り」とし、禁止したにもかかわらず、
消えることがなかっただけでなく、今や日本に渡り、驚くほどフラ人口が膨らんでいます。
なぜなのでしょう??

そんな疑問を抱えている時に、ある本に出会いました。
その本には、アメリカ本土の人がフラにハマり、理解を深めてゆくという話でした。
彼女はクム(巨匠)に
「真のハワイアンを知り、本当のフラを踊るためには、どうしたら良いのでしょうか」と聞きました。
するとクムは「決して崩れない明るい信念のもとに、農業や漁業のやり方を知ることだ」と答えたのです。

このメッセージは実は深いものだと私はとらえました。
古来の社会に必要だったのは、まさに農業や漁業を充実させること。
充実させるというのは、今の農業や漁業のように農夫や漁師だけが、
ただ生産してお金を儲けるのではなく、
先の世代にも耕せる土地や漁業ができる海を残すために、自然循環を考えて、
「住民が皆、生活全般の態度に気を配りながら生きろよ」ということなのです

その本の筆者である彼女自身も、巨匠からのメッセージを読者にわかりやすく分解し、
「フラは今の生活と平行させながらもバイブレーションを感じ取るもの」と記しています。
噛み砕いて言えば、それぞれの世の中にあったフラの関わりかたがある、ということなのです。

古来の社会では人は自然と自分の境をなくすことが生きるためには必要だった。
なので、、フラを踊ることで風になり、水になり、海になり、鳥になり、花になったのです。
もちろんそこには人の育ち方や、環境や、性格や、国籍や、学歴や、宗教などは全く絡んでなく、
もっと底の底をつく「命の感謝」。
古来のフラは、文字には表わせないまさに「感覚的」なものだったのです。

ところが、カプが崩壊し、キリスト教がハワイに入り、
王家の人たちが皆キリスト教徒になると、フラの役割が変わりました。

西洋の人にはフラの意味を理解できなかった時代は、
ハワイアンの意地を見せるアイデンティティーの象徴となりました。

そして現在。古来のフラを教える人と、モダンフラを教える人とに分かれています。
フラの本質が「それぞれの時代に生きる人たちへのメッセージ」だとしたら、
どちらも正解だと思うのです。

社会の価値に振り回されてクタクタになってる私たちは古来のフラで
改めて世の中万物に対する「命の感謝」して、癒されなければならない。
そこには古来のフラが活きてくるのです。
そしてモダンフラを踊る理由は、私たちに笑顔を取り戻す必要があるから。

「フラ信仰煮詰まり過ぎれば蒸発す地上の人たち置き去りにして」 恵美子コーヘン

フラがピュアだった時代の古来ハワイでは花も風も鳥も人も神々も皆平等だった。
 
私たちがフラを踊る理由。答えは見えてきましたよね:)

ブログ46−1

それではまた次回まで。
アローハ!

記事: エミコ•コーヘン
ノースショアの宿(ハワイラブカード加盟店)
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