CULTURE

海亀(ホヌ)が教える、過去から永遠とへ続く訳

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写真 / ハワイのホヌ(海亀)

「私は科学で証明されてることしか信用しないの」

こんな意見をお持ちの方は、今の世の中にたくさんいらっしゃる。もちろん反対しているわけではありません。ただ「科学で証明できてる部分がほんの一握りである」という事実にも注目していただきたいと思うんです。

実際、科学に頼り続け進化を続けて来たこの地球。今いったい何が起こっているでしょうか?遺伝子組換えの食べ物が遺伝子に悪影響を与えるとか、化学物質が癌の元になったとか、温暖化が進んだとか、何より地球を絶滅してしまうほどの力を持つ核爆弾までも科学が作り上げてしまいました。

脅すわけではありません(笑)それを考えてみると、自ずと、本当に科学で証明されているものだけに頼ってて良いのだろうか、というところに突き当たる。そこでホヌ。

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海亀の中でも最も大きいと言われているハワイのホヌ(海亀)。体重が70kgから大きいもので180kgもある大きな生き物です。ハワイではホヌと呼ばれていますが、世界に精通する名はGreen Turtle (グリーンタートル)。科学的な名前は Chelonia mydasです。他の亀と比べて頭が小さいのが特徴で、そのため、黒く光る目が異常に大きく見える。ぱっちりとした真ん丸の目がとても可愛く、お土産の商品になったり、漫画のキャラクターになったり、、、ハワイが好きな人はすでにご存知の通り、多くの人の心を和ませてくれています。

科学的な部分をインターネットに掲載されているNOAAとCofee Times記述に頼って説明すると、その海亀、大人になる(お産が出来る様になる)まで、なんと約25年の歳月が必要。で、大人になった海亀は、2~3年に一度、産卵に選んだ海岸にに戻ってくるそうです。お産の準備ができたママ亀は、夜の静かな時間を選び、浜に上がる。そこに60センチほどの深さの穴を掘り、100個以上の卵を産み落とす。産み終わった後は砂を上から被せて、元来た道を戻っていく。そしてまた2年後に受精し、同じ浜に戻ってくる。

ホヌ(海亀)は、卵を産む落とす前に「大粒の涙」を流します。

抱えている子供たちの未来を案じてでしょうか?それとも卵に宿る「命との離別」に耐えられないのでしょうか?それとも科学者たちがいう様に、ただただ砂が目に入らないための「システム」なのでしょうか。

それにしても100個もの卵。。。相当な量の様ですよね。。。でも、実際に生まれるのはほんの数頭だけ。卵から返る前に、人に潰されたり、マングースやネズミ、蟹や犬に食べられてしまったりしてしまう。運良く卵から返ることが出来た赤ちゃん亀も、生まれたらそれで良しではありません。本来なら自らのペースで海へとゆっくり戻っていくはずが、道路の方に向かっていってしまったり浜で遊び犬や人間に傷つけられたり。開発が進んだ浜辺周辺で生まれる亀は、備わっている本能だけでは生き延びられない、そんな状況なのです。

海に辿り着いてもしかり、命が奪われる危険は続きます(汗)。開発がピークに達した1980年から1990年ごろ、ホヌ全体の数の90パーセントが、悪性腫瘍にやられた!目の周りや首に白い斑点が出きて、いずれそれが腫瘍に変わる。その腫瘍は身体中、そして内臓にも移転し、やがて死を迎える。本来なら60年から70年生きられるのに、腫瘍が出来た後生きられるのはたったの2年なのです(涙)。

原因ははっきりとしていません。が、開発と共に腫瘍を持ったホヌが増えたことから、繊細な生き物なのでドワっと押し寄せる観光の人々に精神的に圧倒されてしまったのではないか、観光客が増えて人間が使うサンスクリーンが影響を与えているのではないかとか、人口が増え急いで作る農業のために使われる農薬が海に流れ込む、それが問題なのではないか、などと。病気にならなくても釣りの糸に巻きつき泳げなくなって命を失う亀もいるし、やはり人の社会のあり様が、海亀の健康に関与しているという説は単に否定できないというのが現実です。

ホヌは生まれてから成長するまでの岩場を感覚で決めそこを自分のイエとして育ちます。だから知らず知らずの間にそこをホームスポットにし潜るダイバーたちの友達になる。

「潜るたびに会っていたホヌの目の周りに腫瘍が出きたんです。で、次にまた会った時、その腫瘍がさらに大きくなっている。会うたびに腫瘍は大きくなり、数も増えていく。いつも会っていた奴が、その経過をたどっているのをみて、堪え難い思になり、ダイブするたびに涙を流しました。何かをしなくてはと思いました。」

多くの人がこの様な理由で保護しようと立ち上がり、少しずつですが、成果を上げています。

実はこのホヌ。絶滅させてならぬ理由がもう一つあります。

日本でも亀は万年と言われたり、中国では真理を導くものなどと言われ、古代から世界のあちらこちらで、人間の精神と切り離せないものとされています。確かに世の中の変化がこんなに彼らを傷つけているというのに、全く意に介さない様に、落ち着きはらい、「のんびり自分をやっている。」そんな亀を見ると自然と自分の心も落ち着く様な気がしますよね。

ハワイの伝説を探ってみるとハワイ島(ビックアイランド)に海亀(ホヌ)からKauilaという人間の女性に化けて、浜で遊ぶ子供たちを見守るという話があります。伝説が伝える意味は、ホヌ(海亀)は母の象徴というわけです。またはアウマクア(祖先)とも言われています。今に生きる子供が困っている時にご先祖はホヌ(海亀)の姿になり現れて、勇気付けてくれる。

科学的にそれを説明してみると、亀は「2億年前から存在する生き物」である、ということに繋がります。ダーウィンの進化論で人間の祖先を掘ってゆくと、人間になる前には、原始人。さらに遡ると両生類。さらに遡ると魚。

過去を自分の中に編み込んでいるハワイアンたちから言うと、それらの「生き物が自分の祖先」になるのは、当然な話。それぞれの家族で言い伝えが違うので、祖先(アウマクア)は、海亀だという人もいれば、トカゲという人ももいる、サメという人もいる。でもポイントは同じ。今いる生き物を見ることで気付かされる。

過去があって今がある。。。という事に。

文頭の課題に戻りますが、やはり今私が生き延びている現実は、証明されている科学だけでは説明できない何かがある、と言うことに繋がっている。要するに、科学が世の中を救うのではなく、「人間の心が地球を救う」のだと私は思います。

最後に今、注目されている若者向けの小説を書く作家、John Green(ジョーン·グリーン)の新作「 Turtle All The Way Down 」の中に出てくる一説をシェアします。

ある科学者が、大きな公会堂にたくさんの人を集めて「地球の成り立ち」を説明した。「地球は何十億年も前に宇宙に浮かぶ屑の集まったガスから出来たんだ。その時の地球はものすごく熱かったが、温度が下がってくると海が出来た。そして単一細胞が海に出現し、長い時間が経つと共に、生物は複雑化した。で、2億年の前あたりから人間の素となる生き物が現れたんだ。それが今の人間の形になり、その人間は、道具というものを使いだし、それをどんどん進化させていった。とうとう人間は宇宙船までも作れる様になったんだ」と。科学者は自分の説明が終わると、集まっていた人たちに向かい「何か質問は?」と言った。すると、大衆の後ろの方に座っていた一人の老女が手を挙げた。「科学者さん、あなたの話はとても素晴らしかったわ。でもね、『地球は平ら』なの。でね、亀の背中にこの地球が乗っているの。それが真実なんですよ。」そう言われた科学者は、彼女に聞き返した。

「ではその亀の下はどうなってるんだい?亀は何の上に乗っているんだい?」

「地球を背中に背負うその亀は他の亀の上に乗っているんです」

「その亀を背負う亀は、何に乗ってるんだい?」

「科学者さん、お言葉ですが、あなたはわかっていらっしゃらない。亀の下は亀。その亀の下は亀。亀の連鎖はいつまでもいつまでも続くんです!」

ーーーーー中略ーーーーーー

僕はふとあの科学者と老婆の言葉の両方が正しいんじゃないかと思った。確かに地球は何十億も立って様々な化学的反応を起こしてここまで来れた。生物が(人間が)存在するのは様々な核分裂の結果だ。けれど、この世は、人が伝えてきたお話で出来ているのかもしれない。

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写真 ハワイに残るペトログラフ。

それではまた次回まで

アロハ!

記事: エミコ•コーヘン
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