わたしが住むノースショア。そこはご存知サーフィンのメッカ。世界から大波チャージをしに集まってくるところです。波が始まるのは大抵10月。日本の太平洋沖の南から北東に抜けてゆく低気圧が発生しだすと、ノースショアに波が入ってくる。
日本近海を通った低気圧が海を揺らし波の素を作る。その波の素が、ハワイまで約1週間、旅をしてくる。旅の間にどんどんパワーを増し、ノースショアの浅瀬、岩棚にぶつかり、ガッバーンと割れる。パワーある大波になり、サーファーたちを魅了するんです。
シーズン始めの波はまだ柔らかい。大波が来てないから浜には砂が溜まっている。砂に優しく反応する波だから比較的、優しい波なんです。
だから、その時期を使い子供たちのサーフィンコンテストが開催される。ノースショアで育ち世界で活躍するジョンジョンやジェイミー、フレッドなどなど、みーんな、子供の頃にこの大会を経験する。要するにサーファーたちの最初の一歩的な戦いなんです。
今年もその大会が開幕。先週と今週末、2週間に渡って行われる大会に幸いにも良い波がやってきて、大きすぎず小さすぎずの楽しい波。子供達がドキドキしながらも元気なパフォーマンスを見せてくれています!
さて、この大会。ただのキッズサーフィンコンテストではない。なんとハワイで一番歴史のある大会。始まったのは42年前。故人、サーフィンの女神と言われているマカハのレルとうちのお隣さんベッキーが誕生日会にサーフィンの大会をしようと、始めたのがきっかけでした。
「大人の大会はたくさんあるけど、子供の大会がなかった。誕生日にやってみた大会が、意外にも面白くて、毎年続けられる様になったんです」と元世界チャンピオンのベッキーさん。
でも「楽しい」が基本で始められたことでも、大抵、月日を断つとトゲトゲしくなるのが常です。特にプロを生み出す様な大会となるとなおさら。。。それなのに、この大会は40年もの間、ポリシーは変わってない。6歳以下出場の子供たち全員にトロフィーが配られるし、お絵かきブースなどがあったりする。
そうなんです。今でも「楽しい」が基本のキッズサーフィンコンテストなんです!!!
写真 / 会場に設置されたお絵かきブース。楽しみながらの大会。子供達の緊張も自然とほぐれる。
わたしは、これこそハワイアンが伝えてきた「メネフネ」への思いなのではないかと思うんです。
メネフネとは、、、多くの方が、ハワイアンの方に「一晩でフィッシュポンドやヘイアウ(神社)を作り上げてしまった体の小さい妖精」と教えられたのではないでしょうか?
実はそうではないんです。実際にわたし、メネフネの末裔の方にお会いしてお話しを聞いたことがあるので、確かです。彼らはハワイの島々を最初に見つけて住んでいた人たち。いわゆる先住民の人たちなんです。太陽の力を信じ、太陽に誓い、自然とハーモニーを奏でながら生きていた民族たちです。
平和に暮らしていたとことに、タヒチの戦う民族がやってきた。「戦う」という習慣がなかった彼らは、すぐに山へ追いやられ、後にきた人たちに奴隷の様に使われることになった。後にきた人たちは、彼らにフッシュポンドやヘイアウを短時間の間で作れとオーダーし、ほぼ一晩で完成させたそう。
ここで戦略の歴史を話すつもりはありません。。。どうして「妖精」になっちゃったのかというところ。どうしてその様に、ハワイアンの人の間で伝えられたかというところ。そこをお話ししたいのです。
現在ハワイアンと呼ばれる方々の多くはやはり後者の方たち。後から島にいらっしゃった方が力で土地と家族を増やした人たちの子孫が多い。でも、不思議と、ハワイの歴史を掘っても、辛かった話や不条理だと思ったことが、伝えられてない。なぜでしょうか?
それは、子供たちに話をするのに、恐ろしいことは決して話さなかったからなんだと思うんです。
時には現実は怖すぎる。厳しすぎる。残酷すぎる。そんな話は人の精神を凍らせてしまう。子供達はとくに、凍ったまま病になる場合もある。
そんなところを組んで、自分たちの先祖の人たちが、島に到着して、先住民たちを力で追いやったという話は、きっとハワイアン的には子供達の話したくなかった。だから妖精にしたのではないかと。
もちろんよくないことです。力で他人の領地を荒らすのは。でも、それは、一部の人たちが決めたこと。ほとんどの人間は、歴史をそこまで変える力がない。こんな私たちができる唯一のことは愛の伝授。ハワイアンたちも同じ思いだったと思うんです。だから、メネフネを妖精としてしまった件、わたしはここに強い「愛」が隠されているんだと信じてならない。
このノースショアのメネフネサーフコンテストの様にね。
それではまた次回まで。
アロハ!
記事: エミコ•コーヘン
ノースショアの宿(ハワイラブカード加盟店)
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