CULTURE

『空になれば答えが見えてくる』(ホクレア航海術)

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写真 オアフ島ノースショアの沖を通るホクレア号

ハワイを愛する読者のみなさんは、きっとご存知でしょうね、ホクレア号とは何かということを。

軽く説明させていただきますね。ホクレア号は太平洋を旅するダブルデッキーカヌーです。しかしただのカヌーではありません。ある意味、ハワイアンの誇りを取り戻すための道具だったのです。ハワイがアメリカになった後は、メインランドでインディアンたちがそうだった様に、先住民族であることが恥だとされていた時代がありました。『ハワイアンであることは隠した方が世に出るのに都合が良いから』と、ハワイアンであることを隠す家族もいました。しかし、ベトナム戦争の辺り自分たちのアイデンティティーを隠さず生きようという「人民運動」が世界各国で起きました。ちょうどハワイでもその時、1975年、ハワイアンであることに誇りを持とうじゃないかということで、この航海が始められました。

言い換えれば『古来の航海を再現する』ことで、字もかけない野蛮人と西洋人から張られたレッテルを『実は高度な技術をもった人種だったんだ』へとレッテルを張り替えようという目的で始められたのです。

今でも続けられているその旅。乗り組み員は、先住民の心と知恵を持ったポリネシアのネイティブたちです。元々は太平洋の島々を廻る旅でしたが、今は人民運動というより文化を伝える道具という意図が強くなり、世界各国にまで足を伸ばす様になりました。(ちょうど先週、現在航海に出ているホクレア号が、パナマ運河そ通過したというニュースが入ってきました)

政治的な話しは、この辺りでおしまいにして、今の私たちにも通じる(今の私たちでも学びたくなる)乗り手が船旅の中でどの様に力を発揮したのか、皆さんに紹介したいと思います。

乗組員は、実際に大海に飛び出していく何年も前から労力を惜しまずトレーニングを積みます。知恵は実際にポリネシア航海士が口伝えで伝えられてきた『生きた歴史』です。海上からみえる月の形、星の位置、海水の温度、うねりの入り方、鳥の種類、鳥の飛び方、雲の形、風の温度、強さ、方向。包まれた自然の現象をありとあやゆる部分まで把握できる様になった上で、航海に出るのです。

けれども実際に航海に出た後、何度も難航することがありました。先日のブログでもエディーアイカウ氏の話しを書きましたが、読みが甘いと命にも関わる旅にもなるのです。昔も今も、乗り組み員の精神が、航海成功の鍵。その意味は、この後の記述(ハワイ大学で使われている教科書)を読むと、おわかりになることと思います。是非 読み進めてください。

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『目的地のイメージが現れるということは、ホクレアの航海にとっては大切なことなのです』ナビゲーターのナイノアはこう言った。

ある年の航海で、ナビゲーターのナイノアは、実際に陸が現れる随分まえに、マウナケアがイメージとして現れたという。そしてその空に浮かぶイメージの方向を追う事で、彼らは本当のマウナケアの位置を探り当てることができたのだ。

ナイノア以前に船長を勤めたマウも同じ様な体験をしている。行く目的だったマッシヴァが、実際に見えてくるずいぶん前に、イメージとして空に見えていた。その二人が航海に使ったその特別な能力というのは、『九死に一生を得た』時に現れてきたという。

I gave up. I think it was because I was so tired that I just gave up forcing myself to find the clues visually.All of sudden I felt warm, but it was raining and cold. When I gave trying to force myself to find answers, I knew.I took command of steering and said, “Here, we’re going to go this way.” When I relaxed and gave up, somehow I knew.Then there was a break in the clouds and the moon showedーexactly where I thought it was supposed to be.

『無風で雨が続き、星も月も何も見えない状況が何日も続いていた。
それでも何としなければならぬと神経を尖らせ目を光らせ
何かが見えないかと夜も寝ずに頑張った。
でももうダメだ。疲れ果てた。諦めた。諦めたくてそうしたのではない。もう余力がないんだ。。。。。。
そう思った瞬間だった。突然、身体が温かくなった。
雨は降っていたし、気温は落ちていたというのに体がポカポカ温かくなった。
そして俺は自然にこう叫んでいたんだ。「あの方向を目指して進ませよう!と。
諦めリラックスした時、不思議にもどちらに行けばいいのかが見えた。
そして船を進める先に見えた雲が切れ、その切れ目から月が見え、
行くべき方向に進んでいることを確信したんだ。』

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どうでしたか?あなたは何を感じましたか?

私はこれを読んで思いだしたことがあります。
ポノシムさんが説いている『本当のアロハの意味』

“君がもし何かと繋がりたい誰かと繋がりたいと思うんだったら、
自分を空にすることだ”
という一説。

なんだかまた生きるヒントを与えられた様な。ハワイは本当に意味深いところです:)

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写真 先日のパイプラインにてーホクレアの乗組員の様に『無心』になることが大波に乗る最大の秘訣

それではまた次回まで。
アローハ!

記事: エミコ•コーヘン
ノースショアの宿(ハワイラブカード加盟店)
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