CULTURE

ハワイと鯨とモスキート(蚊)

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写真 / ハワイアンのたちは、クジラをアウマクア(祖先の生まれ変わり)と信じている

ハワイで見られるKOHOLA(ザトウクジラ)は、体長が大きいもので15メートル、体重は40トンもある大物です。

そのクジラがハワイに滞在するのは12月から5月の間です。その数、北太平洋にいるクジラの三分の二(約10.000)にも登ると言われています。体の40%を水面に出すほどのジャンプをするこのクジラたち。なるほど。数から言っても、暴れようからしても(笑)ハワイでのあちこちでクジラのジャンプが見られるのも納得いきますよね!

さて、なぜクジラたちは食料の豊富な住まいアラスカを離れて、ハワイにやってくるのでしょか? 理由は、繁殖。そしキッズを育てる為です。ハワイには暖かい海水があり、繁殖や子育てに向いているからなんです。

それにしてもクジラたち、3000マイルも離れた距離を2ヶ月もかけてハワイにやってくるなんて、根性ありますよね。しかも、間違えないでキッチリくる。科学者の調べによるとクジラたちは、前脳をうまく使い地球の底から出てくるマグネットの力を読み取り、地質を理解する。だから道順を間違えることがないということです。興味ふかい話です。

このクジラ。驚くことは科学的な面からだけでなく、歴史的な絡みが非常に面白いんです。

あるハワイアンの家系では、クジラをアウマクア(祖先の生まれ変わり)と祀っています。創世記を語るチャント(口頭で伝えられている物語)の2章目に、クジラが誕生したことが( “Hanau ka palaoa noho I kai”)と、語られています。

そのクジラを人間たちが取るようになったのは、19世紀の初めの頃です。ヨーロッパの人たちは、取ったクジラを食べるというよりも、皮の下に厚い脂肪を使い、ロウソクを作ったり、ランプのオイルとして使っていました。原油がなかった当時です。クジラ漁がリッチになる鍵でもあったわけです(💲💲💲💲💲)

初めてハワイに捕鯨船が来たのは、1819年のことです。カリフォルニア州から出た捕鯨船はハワイ島のケアラケクアベイに到着しました。船の指揮を取るキャプテン・ガードナーは、到着してすぐにカヌーに乗ったハワイアンたちに囲まれ、キャプテンクックの件(ローカルたちに殺害された)もあったため、相当怖い思いをしたそうですが、思いの他、ネイティブハワイアンたちは、西洋とのやりとりに慣れていて西洋の船のありとあらゆる物と交換に、クジラ漁を手伝ったり食料や水を補給に協力した。うまく交渉が成立したそうです。

ただし、一艘くれば二艘になり、あっという間に十艘、二十艘。世界からの捕鯨船は、次々とハワイに寄港する様になりました。初めての捕鯨船から10年もしないうちに、船員たちの為のホテル業や農業などなど、ハワイの経済は、クジラ船の数と比例し、うなぎ上りに上昇しました。特にマウイ島のラハイナは捕鯨船の船町。ネイティブと船員との間で暴動が起きたりと、混乱も起きるようになりました。

個人的に驚いたのはこの一件です!ラハイナに、メキシコのサンビアスから捕鯨船が到着したときのこと。その船の漁は、残念ながらうまくいかず、長い船旅の間に、クジラの脂肪を集めておくために用意された甲板にある桶には、クジラの代わりに雨水が溜まっていました。その雨水には、ボウフラがウヨウヨ。船員は、そのボウフラがたっぷり湧いた雨水を、マウイ、ラハイナで、空にしたんです!!それが原因で、それ以前いなかった「蚊が」、ハワイに定着してしまったのです!!そしてネイティブな鳥がどんどん減ってしまった!!

クジラ一つに取っても、裏には、色々な話が隠れている。「昔と今は繋がり未来に溶けてゆく」今回は、クジラからそのことを学びました。

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写真 クジラの壁絵はクジラと交信できるというワイランド作

それではまた次回まで。

アローハ!

記事: エミコ•コーヘン
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